感情も性格も脳がつくる

私たちの心(一般的にいうと感情や性格)をつくっているのは「脳」の電気信号であると考えられています。脳について知ることは私たち自身について理解することに大きく役立ちそうです。ブリストル大学で脳を研究し、神経学の学位を取得した脳科学ジャーナリストのヘレン・トムスン先生に伺います。

脳はニューロンと呼ばれる細胞でいっぱいなのだが、みなとても小さいので肉眼では見えない。ニューロンは古いタイプの電話の電話線のように脳のある部分から違う部分へと電気信号でメッセージを伝達する。ニューロンは木の小枝のように枝分かれして広がっていき、隣同士でつながっている。このつながりの数は非常に膨大で、1秒に1つのペースで数えたら、300万年かかってしまう。

精神は常に、その瞬間のニューロンの物理的な状態によって生まれていると現在ではわかっている。この混沌とした活動によって我々の感情が生まれ、性格が形成され、想像力がかきたてられている。

1848年、25歳のゲイジは鉄道の路盤工事の作業をしていた際、鉄の棒が彼の顎から目を抜けて左側の脳を通り、外へと貫通した。ゲイジは奇跡的に一命をとりとめたが、二度と元の彼には戻らなかった。かつては陽気で優しい青年だった彼は、怒りっぽく粗野になり、時と場所をわきまえずに汚い言葉を口にするようになった。

研究者たちが後にゲイジの頭蓋骨を調べると、脳の中で理性の働きをする前頭皮質という場所が11%損傷していることがわかりました。これはほんの一例ですが、脳の損傷によって人の性格は変わってしまう、つまり性格も大きくは脳の働きによって決まる、といえそうです。

9つの脳の不思議な物語