鶏が先か卵が先か 前編

鶏が先か卵が先か、答えが出ずにグルグルと思考が堂々巡りをして、眠れなくなりそうです。生命科学の専門家に伺います。先生は生命科学の研究者であり起業家である高橋祥子先生です。

「鶏が先か、卵が先か」という言葉があります。鶏がいないと卵は生まれないし、卵がないと鶏が生まれないという、因果律のジレンマです。

ビジネスにおいても、市場が大きくならないと成功事例が出ないが、成功事例がないと市場が拡大しないとか、多くの人が買ってくれないと価格を下げられないが、価格を下げないと多くの人が買ってくれないなどの場合に、「鶏と卵」と表現することがあります。

ただ、この考え方は、私が世の中でもっとも危険だと思うものの一つです。鶏と卵の場合、この二者のみに視野を限定して考えるためにおかしなことになります。視野を大きくして生物学の知識を取り入れて考えれば、この問題はすぐに解決します。鶏はニワトリという生物種だけですが、卵はニワトリ以外の鳥類も生みます。つまり、ニワトリに近い種の鳥類が時間をかけて徐々に変化(進化)することでニワトリになったということです。

つまり、「卵が先にあり、卵から生まれる鳥類が長い時間をかけてニワトリに進化した」のが、「鶏が先か、卵が先か」の解答になります。鶏と卵という二者だけで捉える狭い視野から、進化という生物学の知識が入った広い視野に設定を変えることで問題は簡単に解決します。

ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考 (NewsPicksパブリッシング)