ギャンブルを止める唯一の方法

ギャンブル依存症者は、ギャンブルを止めたいと考えているのに止められない、と考えている人も多いのではないでしょうか。ギャンブルを止める唯一の方法は、今日一日ギャンブルをしないこと。依存症という意味では同じ、覚醒剤依存から回復した、薬物依存者の回復支援施設ダルク創設者の近藤恒夫先生に伺います。

クリーン(薬物を使わない生活)を続けていたとはいえ、覚醒剤を打ちたいという欲求は強かった。特にクリーン1か月目はクスリへの渇望が強くなるころで、もっともスリップしやすい時期でもある。

仲間たちの合言葉である

「ジャスト・フォー・トゥデイ(今日一日のことだけ考えよう)」

の大切さに気づかせてくれたのは、ある小さな町のラーメン屋の店主だった。

「もう一度クスリをやりたい」という誘惑と毎日闘いながら、クリーンが6か月続いていたときだった。私は、ある町はずれの小さなラーメン屋に入った。あまり清潔とはいえない店内の壁には貼り紙がしてあった。ラーメンができ上がる間、私は貼り紙に書かれた字を必死に読んでいた。紙にはこう書かれていた。

「今日貸しません。明日貸します」

何回読んでも意味がよくわからない。

「今日貸さないけれど、明日来れば貸してくれるのか?でも、明日来ても今日だから永久に借金できないということか?」

と、ようやく意味がわかりかけた。「こんな小さなラーメン屋のおやじも、今日を生きているんだなあ」と思うと、仲間と一緒にいるような気分になってきた。小学生のとき、はじめて学校で先生からほめられた感じに似ていた。ラーメンをすすりながら、私は自分の半生を振り返っていた。

AAに通いながら、どんな仕事をしたらいいのか、どういう人生を歩んだらいいのかについて悩んだ。

薬物依存を越えて―回復と再生へのプログラム