ヒマラヤ聖者の奇跡

2021年11月19日

インド哲学は、人間の本質は宇宙の本質と同じといいます。ですから人には無限の能力がひそんでいて、その悟りと行によって、奇跡を起こし、自分自身と宇宙の主人になれるといいます。精神研究の調査団の一員としてインドへ渡り、数々の奇跡を体験したベアード・スポールディング先生に伺います。

翌朝、私たちはジャストとネブロウ(ヒマラヤ聖者のお弟子)だけを同道して、二十里先の一寒村に向かって出発した。径は良くは無く、時にはこの国独特の深い森林の中を蛇行していくので、非常に辿りにくかった。

ようやく日没の半時間前に人口約2百ばかりの部落についた。ジャストは夜営が準備される間一緒に散歩に出てみないかと誘ってきた。私たちは、ジャストと数名の部落民に従い、部落の周辺にある開墾地に向かっていった。開墾地を越えて一寸行ったかと思うと、ジャングルの中に入り込んでしまった。ところがその時私たちは、地面の上に死体かと思われる(最初一目見た時はそう思った)一人の男の倒れている姿にぶつかったのである。ところがよくよく見なおしてみると、それは死んでいるというよりは安らかに寝入っている様子である。

私たちは釘づけにでもなったように凝視したまま、そこに立ちすくんでしまった。というのは地面に横たわっているのは他ならぬジャスト自身だからである。と突然、同行してきたジャストがそこへ向かって歩み寄っていくと、地面の上の別のジャストが動き出し、果ては立ち上がったではないか。ジャストとジャストが一瞬向かい合って立っている。間違いなく相手もまたジャストである。

すると突然私たちが同行してきた方のジャストが消え、私たちの前には唯一人のジャストだけが残って立っている。もちろんアッという間もない出来事である。

この土地には、山賊や人を襲う野獣の跳梁するジャングルの入口に肉体を置く風習があって、そうすることによってその村は文明国家のように人間や動物の破壊から免れるというのである。

ジャストの肉体がその場所に相当の期間、横たわっていたのは明らかであった。何故なら、その髪の毛は伸び放題に伸びて藪のようになり、そのモジャモジャの髪の毛の中にこの土地特有の小鳥たちが巣をつくっていたからである。

わたしたちが毎日接触してその奉仕を受けてきた人が、自分以外の人達を護るために幾日もその体を横たえ、かくも見事な効果を挙げたのである。その瞬間から、もう私たちの間には死を恐れる者は一人もいなくなった。

ヒマラヤ聖者の生活探究 第1巻

ヒマラヤ聖者の生活探求 全5巻